月曜の朝のAIニュースです。週末は、AI会社が「もうけをどう社会に返すか」という話や、AIに体を持たせる計画、そして「AIにお金を動かさせてよいのか」という線引きの話題が目立ちました。
1. Anthropic、自社株の5%を「公益基金」に回す方針を発表
何が起きた?
Claudeを開発するAnthropicは10月18日(現地時間)、新しい組織「Anthropic Public Benefit Fund(公益基金)」をつくり、自社の株式の5%をそこに回す方針を発表しました。株主の承認が条件です。さらに、会社の価値が基準から50%上がるごとに、取締役会の判断で2%ずつ追加できるしくみも示しています。基金のお金は、非営利団体への大きな寄付や、影響を受ける人たちへの直接の支援などに使う想定で、ロビー活動や政治献金には使わないと明記しました。
なぜ重要?
AIが仕事を大きく変えると言われるなか、「AIでもうけた会社は、その利益を社会にどう返すのか」は大きな論点です。同社によると、創業者の寄付の約束などと合わせて、すでに株式の約2割が社会のために使われる予定になっているといいます。一方で、基金の運営方法や、基準となる会社の価値など、細かい点は「今後数か月で公表する」としており、実際にどう運用されるかはこれからです。
ひとこと解説
株式とは、会社の持ち分のことです。会社の価値が上がると株式の価値も上がるため、株式を持つ基金は、会社が成長するほど多くのお金を使えるようになります。
2. OpenAI、人型ロボットの開発を認める — 2027年に「デモ」を予定
何が起きた?
OpenAIのサム・アルトマンCEOは、ポッドキャスト番組や米経済誌Fortuneの取材で、同社が人型(ヒューマノイド)ロボットを開発していると話しました。2027年には見どころのあるデモを見せられる見込みだとしつつ、ロボットが街を普通に歩くようになるのは、そこからさらに数年かかるとの見方も示しています。米テックメディアEngadgetによると、同社の採用ページにはロボット関連の求人が27件並んでいます。
なぜ重要?
人の暮らす家や職場は、人の体に合わせてつくられています。だからこそ、人に近い形のロボットなら、建物や道具を変えずに働ける可能性があります。ただし、アルトマン氏自身も、むずかしいのは体よりも、まわりを見て判断し、失敗を自分で直す「頭脳」の部分だと話しています。デモの内容や発売時期、値段などはまだ何も発表されていないため、今は「計画が明かされた段階」と受け止めるのがよさそうです。
ひとこと解説
ヒューマノイドとは、頭・胴体・腕・脚など、人に近い形をしたロボットのことです。工場の作業や家事の手伝いなどへの活用が期待されています。
3. 米大手金融、外部の「AIエージェント」によるお金の操作を止める
何が起きた?
米国の証券大手チャールズ・シュワブのCEOは10月16日(現地時間)、米Bloombergのテレビ番組で、許可されていない外部のAIエージェントが顧客の口座で取引しようとするのを止めていると話しました。毎週、大手AIからのこうした試みを数十件単位で防いでいるといいます。外部のAIには残高の確認や調べものはさせても、お金は動かせないしくみにしているそうです。銀行大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOも、外部のAIエージェントが顧客の口座情報にアクセスするのを止めていると認めました。
なぜ重要?
AIに「代わりに手続きをしておいて」と頼める便利さが広がる一方で、AIがまちがえたとき誰が責任を負うのかは、まだはっきり決まっていません。シュワブのCEOも、この責任の問題を理由に挙げています。米国ではAIエージェントの責任を定める法案が出ていますが、まだ成立していません。ルールが決まるまでは、それぞれの会社が自分で「どこまでAIに任せるか」を決めることになりそうです。私たちも、AIにお金まわりの操作を任せるときは、サービスが公式に認めている使い方かどうかを確かめると安心です。
ひとこと解説
AIエージェントとは、人の代わりにウェブサイトを操作したり、手続きを進めたりするAIのことです。質問に答えるだけのAIと違い、実際に「行動」までするのが特徴です。
4. 中国DeepSeek、新しいオープンモデル「V4.1-Flash-1017」を公開
何が起きた?
中国のAI企業DeepSeekは、新しいモデル「DeepSeek-V4.1-Flash-1017」を公開しました。AIモデルの共有サイトHugging Faceのページによると、前のモデルの小さな改良版という位置づけで、考える力、プログラミング、AIエージェントとしての作業、画像の理解などの成績が上がったとしています。答えの長さや作業時間を短くして、使う費用を下げたのも特徴です。モデルの中身(重み)は、自由に使えるMITライセンスで公開されています。
なぜ重要?
DeepSeekは、高い性能のモデルを安く、誰でも使える形で出すことで知られています。性能だけでなく「同じ作業をどれだけ安くこなせるか」を競う流れが強まると、AIを使ったサービスの値段が下がる可能性があります。なお、成績の数字は開発元による発表で、第三者による検証はこれからです。
ひとこと解説
オープンモデルとは、AIの中身(重み)が公開されていて、誰でもダウンロードして自分のパソコンやサーバーで動かせるAIのことです。MITライセンスは、商用も含めてかなり自由に使ってよいとする決まりです。
まとめ
今日の4本からは、AIが「話すだけの道具」から、お金や体を持って現実の世界に関わる存在へ進もうとしている様子が見えてきます。そのぶん、もうけを社会にどう返すか、どこまで任せてよいかといったルールづくりが、技術と同じくらい大切になっています。
出典: