日曜の朝のAIニュースです。今日は大きな新製品よりも、「AIをどの会社のものにするか」「AIで職場はどう変わったか」といった、使う側の選択や暮らしに近い話題が並びました。
1. Replit、標準のAIをAnthropicからOpenAIに切り替え
何が起きた?
ブラウザだけでアプリを作れる開発サービス「Replit」のアムジャド・マサドCEOは、10月16日(現地時間)に米国のテックイベント「TechCrunch Disrupt」で、Anthropicとの協力関係を見直したと話しました。理由として、費用、提携の条件、性能の3つを挙げ、社内外のテスト結果をもとに「いまはOpenAIのほうが良い」と述べています。その後、OpenAIのモデルがReplitのAI機能「Replit Agent」の標準(既定)になると補足しました。ただし、利用者はこれまでどおりClaudeなど他社のモデルも選べるとしています。
なぜ重要?
Replitは、少し前までAnthropicの大口顧客の上位5社に入っていたと同社CEOは説明しています。多くの利用者は標準の設定をそのまま使うため、既定が変わるだけでAI会社に入るお金は大きく動きます。一方で、業界関係者からは「Anthropicとの提携は続いている」という声も出ており、関係が完全に終わったのかははっきりしていません。AIの性能差が縮まるなかで、開発サービス側が値段や条件を見てAIを乗りかえる動きが目立ってきました。
ひとこと解説
既定(デフォルト)モデルとは、利用者が何も選ばなかったときに自動で使われるAIのことです。モデル・アグノスティックは「特定の会社のAIに縛られず、複数から選べる」という意味で、Replitは引き続きこの方針だとしています。
2. Anthropic、自社の働き方の変化を公開 — 若手の割合が減り、会議は2割増
何が起きた?
Anthropicは10月17日(現地時間)、自社の社員の構成や仕事の中身がAIによってどう変わったかをまとめた報告を公開しました。技術職のうち若手(ジュニア)が占める割合は、2025年初めの21%から14%に下がり、技術職の採用に占める若手の割合は27%から9%に下がったとしています。一方、社員1人あたりの会議の時間は前の年より20%増えました。4月の社内調査では、27%が「Claudeのおかげで生産性が上がった」と答え、20%が「自分で作業するより、Claudeに任せた仕事を管理する役割に変わった」と答えています。
なぜ重要?
AIが仕事を手伝うようになると、「若手に任せていた作業」が減るのではないか、という心配は以前からありました。今回の数字は、少なくともAIを作っている会社の中では、その変化がすでに起きていることを示しています。また、AIが大量の文章やコードを作るほど、それを読んで判断する人間の注意力が足りなくなり、人と人で確認しあう会議が増えた、という見方も示されています。ただし、これはAnthropic自身による報告で、外部の検証を経たものではなく、ほかの会社にそのまま当てはまるとは限りません。
ひとこと解説
ボトルネックとは、全体の流れを遅くしている「いちばん細い部分」のことです。今回の報告では、AIの作業量が増えたことで、人間の「読む・判断する」時間がボトルネックになったとしています。
3. Meta、AI学習をめぐって懸念が出ていた規約の文言を削除
何が起きた?
Metaは、企業向けアカウントの利用規約に入れていた文言を削除したと、米TechCrunchが10月17日(現地時間)に報じました。問題になったのは、企業アカウントが持つウェブサイトやページの内容を、Metaが自社の製品の改善や研究、AIの学習などに使える、と読める部分です。法律の専門家からは、ニュースサイトなどの内容を集めてAIの学習に使う許可を与えることになりかねない、と指摘されていました。Metaは「広告やビジネス向け製品の規約をまとめたもので、サイトの情報を集めるやり方は変わっていない」と説明しています。
なぜ重要?
AIの学習にどんなデータを使ってよいのかは、いま世界中で争われている大きなテーマです。規約の一文が、知らないうちに「自分のサイトの内容をAI学習に使ってよい」という同意になってしまうなら、企業や個人にとって見過ごせません。今回は指摘を受けて文言が消えた形ですが、ふだん使っているサービスの規約が変わったときに、AI学習に関する項目を確かめる習慣は大切になってきています。
ひとこと解説
**スクレイピング(クロール)**とは、プログラムを使ってウェブサイトの文章や画像を自動で集めることです。AIの学習データ集めによく使われます。
4. 「親に生成AIを使ってほしくない」子世代が約7割 — 国内調査
何が起きた?
AI学習サービスを運営するSHIFT AIは、65歳以上の親を持つ30〜50代の723人に、親の生成AI利用について聞いた調査の結果を公表しました(10月1日に実施)。親に生成AIを「まったく使ってほしくない」が37.8%、「あまり使ってほしくない」が31.5%で、合わせて69.3%が反対でした。理由としては「そもそも親にAIは必要ない」といった声や、誤った情報を信じてしまうことへの不安が挙がっています。また、子世代自身で生成AIを使っている人は22.8%にとどまり、自分がよく使う人ほど、親にも使ってほしいと答える傾向があったとしています。
なぜ重要?
高齢の人こそ、調べものや手続き、話し相手としてAIの助けを受けられる場面は多いはずです。しかし家族の側は、だまされることや間違った情報への不安から、むしろ遠ざけたいと感じていることがわかります。そして、その不安は「自分がAIをあまり使っていない」ことと結びついている可能性があります。AIの便利さと危うさの両方を、家族のなかでどう伝えていくかが課題になりそうです。なお、これは1社による一度きりのネット調査の結果です。
ひとこと解説
生成AIとは、文章や画像などを新しく作り出せるAIのことです。ChatGPTやGemini、Claudeなどが代表例です。
まとめ
今日の4本は、どれも「AIを使う側の判断」に関わる話でした。開発サービスはAIを値段と性能で乗りかえ、AIを作る会社の中では人の役割が「作業」から「確認と判断」に移りつつあります。規約の小さな一文や、家族のなかの不安も含めて、AIとのつきあい方を自分で選ぶ場面が増えています。
出典:
- Replit makes OpenAI its default over Anthropic, CEO says(TechCrunch)
- Anthropic says its workforce has become less junior and is spending more time in meetings(TechCrunch)
- Meta removes language that raised scraping and AI training concerns(TechCrunch)
- 「そもそも親にAIなんて必要ない」 65歳以上の生成AI利用、子世代の7割が拒否する理由(@IT)