おはようございます。9月15日(火)は、iPhoneユーザーにとって身近な「Siri AI」の登場から始めます。あわせて、週末から続く「AI減速論」への反発、そして**「AIに渡したデータは誰が見て、どこに残るのか」**という、仕事でも私生活でも気になる話題を2本お届けします。

1. iOS 27の配信スタート — 生成AIで作り直した「Siri AI」は英語から、日本語は10月予定

何が起きた? Appleは米国時間の9月14日、iPhone向けの新OS**「iOS 27」の配信を始めました(日本では9月15日**)。目玉は、生成AIを使って大きく作り直した新しいSiri、**「Siri AI」**です。

国内メディアの報道によると、Siri AIは次のようなことができるとされています。

  • メッセージやメモなど本人の情報の文脈をふまえて答える
  • ウェブの最新情報を調べて回答する
  • 複数のアプリをまたいで操作する
  • 画面に表示している内容を理解して手伝う

ただし、現時点で使えるのは言語設定が英語のユーザーだけで、ベータ版(試験提供)という位置づけです。日本語は10月の対応予定とされています。また、Siri AIを使えるのはApple Intelligence対応機種(iPhone 15 Pro/15 Pro Max、iPhone 16以降など)に限られ、iOS 27そのものに対応するiPhone 11以降すべてで使えるわけではない点に注意が必要です。EUでは当初提供されないと報じられています。

さらに米MacRumorsは同日、iOS 27のプログラムの中に、SiriがClaudeやChatGPTなど他社のAIに質問を任せる仕組みが見つかったと伝えました。これはAppleが公式に発表した機能ではなく、解析者がコードから見つけた段階の未確認情報です。現時点では一般ユーザーが自由に切り替えられる状態ではないとされています。

なぜ重要? 「スマホのAI」といえば、これまではアプリを開いて使うものでした。Siri AIはOSそのものにAIが組み込まれ、個人の予定やメッセージを知ったうえで動く方向への大きな一歩です。便利になる一方で、どこまでの情報をAIに見せるかを自分で決める場面が増えていきます。

ひとこと解説: ベータ版は、正式版の前に機能を試してもらうための提供形態です。動作が不安定だったり、仕様が変わったりすることがあります。日本語対応を待つ人は、10月までに設定画面の「Apple Intelligence」の項目を一度確認しておくと、始まったときに戸惑わずにすみます。

2. トランプ大統領がアモデイ氏を名指しで批判、中国も「恐怖をあおっている」と反発

何が起きた? 昨日の記事でお伝えした「AIの開発ペースを落とすべき」という提言に、米中の双方から強い反発が出ました。

  • トランプ大統領は米国時間9月14日(月)朝、自身のSNS「Truth Social」で、提言を主導したAnthropicのアモデイCEOを皮肉を込めて批判しました。AIに必要な歯止めは「強く賢い大統領」だけだという趣旨の投稿で、政府はすでにAI企業に対して刑事・規制上の強い権限を持っている、とも書いたと報じられています。
  • 中国外務省の郭嘉昆報道官は同じく14日の定例会見で、米国のAI業界トップからの警告について**「恐怖をあおり、対立や悪質な競争をすることは、世界のAIガバナンスを妨げるだけだ」という趣旨の反論をしました。アモデイ氏は論考の中で、中国がAIで先行することの危険性を指摘し、先端半導体の対中輸出規制を続けるべきだと主張していました。中国の官製紙・環球時報は、この提言を「AI版の冷戦の手引き」**と批判しています。

なぜ重要? 「安全のために減速を」という呼びかけは、米国内では**「規制で有利な立場を得たいだけ」、中国からは「中国封じ込めの口実」と受け止められました。安全の議論が、国内政治と米中対立の両方に巻き込まれているのが現状です。報道では9月24日に米中首脳会談**が予定されているとされ、AIや半導体が議題になるかも注目点です。

ひとこと解説: AIガバナンスは、AIを安全・公正に使うためのルールや監督の仕組み全体を指す言葉です。法律だけでなく、国際的な合意や企業の自主ルールも含みます。

3. NVIDIAやPalantirが「AIに渡すデータ」を警戒、AnthropicやOpenAIのモデル利用を制限と報道

何が起きた? 米The Informationは9月14日Palantir、NVIDIA、Booz Allen Hamiltonの3社が、AnthropicやOpenAIのAIモデルの社内利用を制限したり、条件をつけたりしていると報じました。これは報道ベースの情報です。報道の主な内容は次のとおりです。

  • Palantir: 自社ソフトでAnthropicのモデルを提供する条件として、データを一切保存しない保証を求めている
  • NVIDIA: Anthropicのモデルは機密性の低い業務にとどめ、重要な業務には自社のAIモデル「Nemotron」を使っている
  • Booz Allen: 顧客の機密データにかかわるサイバーセキュリティ案件で、Anthropicのモデルの使用を禁止している

きっかけは、Anthropicが6月に導入した**「利用ログを30日間保存する」方針**だとされています。同社は、複数回に分けて行われる巧妙な攻撃を見つけるためにログが必要で、保存したデータをモデルの学習には使わないと説明していますが、機密を扱う企業の不安は解消しきれていないようです。Anthropicは対策として、企業が自分のクラウドに自分の暗号鍵でログを保存できる仕組みを段階的に提供し、今秋に広く展開する予定と報じられています。

なぜ重要? AIの性能競争が注目されがちですが、企業が本格的に使うかどうかを決めるのは、**「預けたデータがどう扱われるか」**です。大手でさえ条件交渉をしているということは、会社でAIを使う個人も、社内ルールの範囲を確認しておく必要があることを示しています。

ひとこと解説: **データ保持(リテンション)**は、サービス側が利用者の入力や出力の記録を一定期間保存することです。ゼロデータリテンションは、処理が終わったら記録を残さない契約を指します。

4. ChatGPTの会話を外部の人が読んで評価 — 米メディアが「Project Lily」を報道

何が起きた? 米404 Mediaは9月14日、OpenAIが数百人規模の外部委託スタッフを使い、実際のChatGPTの会話を読んで回答の良し悪しを評価させていると報じ、この取り組みを「Project Lily」と紹介しました。報道によると、目的はAIが人間のようにふるまいすぎたり、利用者に同調しすぎたりするのを減らすための改善です。

OpenAIは、スタッフに渡す前に個人情報を取り除く処理をしているものの、機微な情報がすり抜ける場合があることは認めたとされています。評価者にユーザー名は表示されないとも伝えられています。また記事では、Anthropicも同様に人による確認を行っていることを認めたとされています。

なぜ重要? ChatGPTを悩み相談や仕事の下書きに使っている人は少なくありません。「AIとの会話は機械しか見ていない」と思い込んでいると、思わぬ形で情報が人の目に触れる可能性があります。3本目の企業の話と同じく、「入力したものがどう扱われるか」を知っておくことが大切です。

ひとこと解説: 対策としては、実名・住所・病歴・社外秘の情報などをそもそも入力しないのが一番確実です。ChatGPTには設定から「モデル改善への利用」をオフにする項目がありますが、それで今回報じられた人による確認がすべて対象外になるのかは、報道では明らかになっていません。

5. OpenAI、スマホカメラ技術のGlass Imagingを買収と報道 — 自社デバイスへの布石か

何が起きた? 米Wall Street Journalの報道として、OpenAIが米スタートアップのGlass Imagingを3億ドル超で買収したと、9月14日にTechCrunchなどが伝えました。報道ベースの情報です。

Glass Imagingは2019年創業で、AppleでiPhoneの「ポートレートモード」開発チームを率いた技術者が立ち上げた会社とされています。AIを使ってスマホカメラの画質を大きく引き上げる画像処理技術を持っています。

なぜ重要? OpenAIはデザイナーのジョナサン・アイブ氏の会社を買収するなど、自社のハードウェア(端末)づくりを進めています。カメラ技術の取り込みは、AIが「目」を持って周りを見ながら手伝う端末を目指す動きと読むこともできます(ここは筆者の見立てです)。1本目のAppleのSiri AIと合わせると、「身につけるAI」をめぐる競争がじわじわ近づいてきている印象です。

ひとこと解説: **画像処理プロセッサ(ISP)**は、カメラのセンサーが受け取った光のデータを、私たちが見る写真に仕上げる部品・ソフトのことです。Glass Imagingはこの工程をAI(ニューラルネットワーク)で行う技術を開発しています。

まとめ

今日は、Siri AIの登場で、AIが「アプリ」から「スマホそのもの」に入り込み始めた一日でした。便利さが増すほど、AIに何を見せ、何を預けるかが大事になります。企業がデータの扱いをめぐってAI企業と交渉し、ChatGPTの会話が人に読まれている実態が報じられたのは、その裏返しとも言えます。

身近な対策としては、個人情報や社外秘をAIに入力しない設定画面でデータの扱いを確認する、の2つを覚えておくと安心です。

出典: